はじめに:研究背景とその意義
サウジアラビアのイマーム・ムハンマド・イブン・サウード・イスラム大学で応用言語学を研究するルジャイン・アルトウィジリ氏と、同大学の准教授タラル・ムサーイド・アルギッジ氏による本論文Investigating the integration of artificial intelligence in English as foreign language classes for enhancing learners’ affective factors: A systematic reviewは、2024年5月に国際学術誌『ヘリヨン』に掲載された体系的レビューです。テーマは、人工知能がどの程度まで英語学習者の情動的側面(動機づけ、エンゲージメント、態度、学習不安)を改善できるのかということです。
実際の教室にいたことがある人なら理解できるように、言語学習の成否は単なる文法知識や語彙力だけでは決まりません。学習者がどれだけ学習に前向きであるか、授業に集中できるか、新しい言語に対してどのような気持ちを持っているか、そしてテストや発表のときにどの程度不安になるかといった、いわば「心の状態」が極めて重要です。この研究は、そうした心理的要因にAIがどう影響するのかを、過去6年間の実証研究をまとめて検証しようとしたものです。
本論文の大きな意義は、AIと言語教育の関係性が急速に注目を集める中で、学習成果だけでなく学習者の感情や動機といった側面に焦点を当てた体系的な知見をまとめた点にあります。2017年から2023年にかけて64の論文から最終的に21の研究を厳選し、詳細に分析しています。
