はじめに:教室で何かが変わろうとしている
ここ数年、教育の場で「フリップドラーニング」という言葉をよく耳にするようになりました。簡単に言えば、従来は教室で先生が説明していた内容を動画などで事前に学んでおき、教室では学生同士が議論したり問題を解いたりする時間に充てる、という学習方法です。一見すると革新的に聞こえますが、実際にはどの程度の効果があるのでしょうか。
本論文Inquiry-based learning and technology-enhanced formative assessment in flipped EFL writing instruction: Student performance and perceptionsは、中国の韶関大学のHui-Wen Huang教授を筆頭とする研究チームが、このフリップドラーニングに加えて、探究型学習(Inquiry-Based Learning、略してIBL)とテクノロジーを活用した形成的評価(Technology-Enhanced Formative Assessment、TEFA)を組み合わせた英語ライティング教育を実践し、その成果を検証したものです。共著者には日本の立命館大学のDaniel J. Mills氏と台湾の樹德大学のJoseph Anthony Narciso Z. Tiangco氏が名を連ねており、東アジアの研究者による国際共同研究という点でも注目に値します。
本批評では、この研究がどのような背景から生まれ、どのような方法で進められ、その結果が実際の教育現場にどのような含意を持つのかを、専門外の方にもわかりやすくお伝えしながら、同時に研究としての強みと限界を検討していきたいと思います。
