研究の出発点:テストのあり方を問い直す

私たちは普段、テストというものをどのように捉えているでしょうか。多くの場合、テストは学習者が「今どれくらいできるのか」を測る道具として使われています。問題が出され、学習者が答えを書き、採点者がその答えに点数をつける。この一連の流れは、まるで写真を撮るように、ある一瞬の学習者の能力を切り取って記録する作業に似ています。

しかし、本当にそれだけでよいのでしょうか。この論文の著者であるナセル・ラシディ氏とザフラ・バハドリ・ネジャド氏は、そんな問いかけから研究を始めました。ラシディ氏はイランのシラーズ大学で外国語教育を専門とする教授であり、バハドリ・ネジャド氏は同大学で英語教育の修士号を取得した研究者です。彼らが着目したのは、「動的アセスメント」と呼ばれる評価方法です。

動的アセスメントの基本的な考え方は、従来の標準化されたテストとは大きく異なります。従来のテストでは、評価者は学習者に問題を提示し、その答えを採点するだけで、途中で助言をしたり教えたりすることは一切ありません。それはちょうど、カメラマンが被写体に何も指示を出さずにシャッターを切るようなものです。一方、動的アセスメントでは、評価の過程そのものに教育的な介入を組み込みます。つまり、写真を撮るのではなく、むしろ動画を撮りながら監督がアドバイスを送るような関係性が生まれるのです。