はじめに—誰のための学問か

Liu, Al-Hoorie, Hiverによる本論文Open access in language testing and assessment: The case of two flagship journalsは、言語テスト・評価分野の二つの主要学術雑誌におけるオープンアクセスの現状を、統計的に丁寧に検証した意欲的な研究です。著者たちは、2008年から2022年にかけて898本の論文を分析し、どの程度の論文が研究成果を公開しているのか、そしてどのような背景を持つ研究者がオープンアクセスを実践しているのかを調べました。

この研究が興味深いのは、単なる現状報告に終わらず、学術出版の構造的な不公正に立ち向かおうとしている点です。特に印象的なのは、グローバルサウスに所属する著者がオープンマニュスクリプトを発表する可能性が低いという統計的発見は、先進国と発展途上国との間に存在する学術的な不平等を明確に示しています。この発見は、単なるデータではなく、世界中の言語学者や教育研究者がどれだけ平等に学問の成果を発表できるのかという根本的な問題を提起しているのです。