はじめに:研究背景と著者の問題意識
イギリスのハダースフィールド大学経営学部のアラズ・ジラル氏が2023年に発表した本論文Exploring the impact of language models, such as ChatGPT, on student learning and assessmentは、ChatGPTを代表とする大規模言語モデルが高等教育の学習と評価にいかなる影響を及ぼしているのかを、系統的に検討した重要な研究です。この研究が出版された時期を考えると、ChatGPTが世界的に話題になってからまだ数ヶ月しか経っていない時期であり、教育界がこの技術にどう向き合うべきかまだ答えが見つかっていない状況でした。
ジラル氏は、この新しい技術に対する世間の反応の二極化に注目しました。一方には、この技術が学生体験を向上させ学習成果を高めると楽観視する声があります。他方には、学生の学習を阻害し、カンニング問題を引き起こすとして慎重な対応を求める声があります。こうした両極の意見が存在する中で、ジラル氏はスコーパスデータベースから系統的に文献を抽出し、25の論文を分析することで、この問題に対するより客観的で多面的な理解を試みたのです。
