オスロメトロポリタン大学のディナ・ツァガリ氏をはじめとする研究チームが2023年に発表した論文Teacher beliefs and practices of language assessment in the context of English as a lingua franca (ELF): Insights from a CPD courseは、現代の言語教育が直面する根本的な問題に正面から向き合っています。筆者たちが提起しているのは、一見すると単純に思える質問です。それは、ノルウェーとイタリアの多文化教室で教えられる英語を、誰のモデルに基づいて評価すべきか、という問題です。
この研究背景には、言語教育界における大きなずれがあります。今日、グローバルな場面で使用される英語の大多数は、イギリスやアメリカの母語話者ではなく、第二言語として英語を使用する人々によって話されています。にもかかわらず、学校や試験制度では、長らく母語話者の標準に基づいた評価が行われてきました。この矛盾こそが、ツァガリ氏らが探究の対象として選んだテーマなのです。
研究の構成と参加者
本論文は、Erasmus+プロジェクト「ENRICH」の枠組みの中で実施されたオンライン専門職開発コースを基盤としています。ノルウェーとイタリアという二つの異なる教育制度を持つ国から、合計30人の英語教師が参加しました。ノルウェーからは9人、イタリアからは21人です。これらの教師たちは、小学校から大学までの様々な段階で教えている実践的な教育者たちです。
研究の対象地域の選択そのものが興味深いのは、両国ともに急速に多言語化する社会を経験しているからです。ノルウェーの総人口540万人のうち約15パーセントが移民であり、イタリアでも1370万人の非イタリア系住民が存在します。こうした背景のもとで、従来の単一言語的な教育モデルは次第に現実とのズレを深めていたのです。
