はじめに:なぜこの研究が重要なのか

タリア・アイザックスらが執筆した本論文Examining the predictive validity of the Duolingo English Test: Evidence from a major UK universityは、2023年に言語テスト研究の主要な学術誌に掲載された、きわめてタイムリーな研究です。対象となるのはDuolingo English Test(DET)という、比較的新しい英語能力評価試験の妥当性についての実証研究です。

この研究が生まれた背景には、COVID-19パンデミックという社会状況がありました。2020年、多くの国の大学は従来の対面式英語テストの実施が困難になり、オンラインで自宅受験ができる試験を求めました。DETはまさにこの空白を埋める形で急速に普及します。安価で、短時間で、いつでもどこでも受験できるこのテストは、経済的余裕のない学生にとって福音となった反面、その信頼性についての学術的検証は大きく遅れていました。アイザックスたちの研究は、こうした状況のなかで、DETが本当に大学での学業成功を予測できるのかを、初めて本格的に調べた重要な研究なのです。