作文指導の現場で起きているジレンマ
「先生、私の作文のどこを直せばいいですか」。こんな質問に答えるため、多くの先生は生徒一人ひとりの作文に赤ペンでコメントを書き込んでいます。しかし30人のクラスで、すべての生徒に丁寧なフィードバックを返すには膨大な時間がかかります。ある調査によれば、コメント式のフィードバックには一つの作文あたり約7分かかるとされています。週に一度作文を書かせたら、採点だけで3時間半以上。これでは他の授業準備に手が回りません。
一方で、フィードバックの重要性は教育現場で広く認識されています。適切なフィードバックがあれば、生徒は自分の弱点を理解し、次の作文で改善できます。しかしフィードバックがなければ、同じ間違いを繰り返してしまいます。特に外国語で論証文を書くという高度な課題では、明確な指針が不可欠です。
このジレンマに対して、ドイツのミュンスター大学とオルデンブルク大学の研究チームが興味深い解決策を提示しました。それは、評価基準を明示した「ルーブリック」と「模範例」を組み合わせたフィードバック方法です。本研究Effects of formative feedback on argumentative writing in English and cross-linguistic transfer to Germanは、この時間効率的な方法が、従来の詳細なコメントと同等かそれ以上の効果を持つことを実証しています。
