研究の背景と筆者について

本論文”The affordances of iPad for constructing a technology-mediated space in Hong Kong English medium instruction secondary classrooms: A translanguaging view”の筆者であるKevin W. H. TaiとLi Weiは、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)の応用言語学センターに所属する研究者です。Li Weiは特にトランスランゲージング研究の第一人者として知られ、多言語使用の理論的枠組みを構築してきました。この論文は2021年に発表され、2024年にLanguage Teaching Research誌に掲載されました。研究は香港の英語中等教育(EMI)の現場で行われましたが、その知見は日本を含む多くの国々の教育現場に重要な示唆を与えるものです。

香港は1997年にイギリスから中国に返還されて以降、言語教育政策が大きな転換期を迎えてきました。広東語を母語とする住民が大多数を占める中、英語による教育をどう位置づけるかは常に議論の的となってきました。さらに近年では南アジア系住民の増加により、教室の言語状況はより複雑になっています。このような多言語・多文化環境において、テクノロジーがどのような役割を果たしうるのか―それがこの研究の出発点でした。