「英語だけで教えるべき」という固定観念への挑戦

英語の授業では英語だけを使うべきだ。このような考え方は、多くの英語教師や学習者の間で当然のこととして受け入れられてきました。実際、私自身も英語を学んでいた学生時代、授業中に日本語を使うことはどこか「ずるをしている」ような、あるいは「本当の英語学習」から逸れているような感覚を持っていたことを覚えています。しかし、本当にそうなのでしょうか。Sarah Hui-Ching LinとAlex Ho-Cheong Leungによる本論文”ESL classroom interactions in a translanguaging space”は、この長年の固定観念に対して、実際の教室データに基づいた説得力のある異議を唱えています。

この研究は、イギリスの大学で学ぶ台湾人学生たちのESL(第二言語としての英語)教室における相互作用を、合計27時間もの録画データをもとに詳細に分析したものです。筆者たちが注目したのは「トランスランゲージング」と呼ばれる現象です。この概念については後ほど詳しく説明しますが、簡単に言えば、学習者が英語と母語(この場合は中国語)を自由に行き来しながら、さらにジェスチャーや表情、実物などのあらゆるコミュニケーション手段を総動員して学習を進めていく様子を指します。