はじめに―英語で歴史を学ぶということ
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−皆さんは、母語ではない言語で複雑な内容を学んだ経験があるでしょうか。例えば、英語で日本史を学ぶとしたら、「農業」という簡単な言葉は言えても、「灌漑農業」といった専門用語になると、途端に口ごもってしまうかもしれません。このような状況は、世界中の英語を媒介とした教育(English Medium Instruction、以下EMI)の現場で日常的に起きています。
本論文”Shaping student responses into academic expressions: Analysing an English medium instruction history classroom from a translanguaging perspective”の著者であるKevin W. H. Taiは、香港大学教育学部の准教授で、言語教育政策や教室談話、多言語環境におけるトランスランゲージングを専門としています。彼は20年以上の教育経験を持つ香港のEMI歴史教師の授業を2ヶ月にわたって観察し、教師が生徒の素朴な応答をいかにして学術的な表現に「翻訳」していくかを詳細に分析しました。この研究は2020年10月から11月にかけて、香港のニューテリトリーにある名門EMI中学校で行われました。
