研究の背景と筆者について

University of TennesseeのLeala Holcombによるこの研究”Writing development and translanguaging in signing bilingual deaf children of deaf parents”は、聾の両親を持つ3人の聾のきょうだいが、アメリカ手話(ASL)と英語という二つの言語を使いながら、どのように書く力を身につけていったかを10年間にわたって追跡したものです。Holcomb自身も聾の研究者であり、ASLと英語の両方に堪能で、スペイン語の知識も持っているといいます。彼女のこうした背景は、この研究に独特の深みを与えています。というのも、聾のコミュニティの内部からの視点と、外部の研究者としての視点の両方を持ち合わせているからです。

この研究が発表されたのは2023年ですが、取り扱っているデータは子どもたちが3歳から10歳までの期間、つまり約10年間にわたって家族が保管していた書き物のサンプルです。私たちの多くが子どもの頃に描いた絵や書いた文字を親が大切に取っておいてくれた経験があると思いますが、この研究もまさにそうした家族の記録を学術的に分析したものといえます。