教室で起きている静かな戦い
英語を教える先生が、授業中に生徒の母語を使うべきかどうか。この問いは、一見シンプルに思えますが、実は教師の心に深い葛藤をもたらしています。Sarah HopkynsとSender Dovchinによる本研究”Translanguaging and emotionality of English as a second language (ESL) teachers”は、アジア3カ国のESL(第二言語としての英語)教師が、「トランスランゲージング」という実践をめぐってどのような感情を抱いているのかを丁寧に掘り起こした貴重な論文です。
トランスランゲージングとは、複数の言語を混ぜて使うことを指します。たとえば日本の英語教室で、先生が「This is a pen. これはペンです」と英語と日本語を織り交ぜて説明するような場面を思い浮かべてください。このような実践は、実は多くの教師にとって自然な行為なのですが、同時に罪悪感や恥ずかしさといった負の感情も引き起こすのです。なぜなら多くの教育機関では「英語のみ」という方針が掲げられているからです。
本研究は、モンゴル、日本、アラブ首長国連邦(UAE)という3つの異なる文化圏で英語を教える6人の大学教員にインタビューを行い、彼らの生の声を集めました。研究者たちは、教師たちが日々の授業で経験する感情の起伏を、誠実に、そして繊細に描き出しています。
