研究の背景―なぜインドの英語教室に注目するのか
Table of Contents
−- 研究の背景―なぜインドの英語教室に注目するのか
- 熟練教師8名の選定―本当の専門家を見つけ出す難しさ
- インドの多言語環境―言語が交じり合う日常
- 3週間の密着観察―教室の現実を記録する
- 言語使用の驚くべき多様性―英語89%から15%まで
- 教師たちの使い分けの技術―場面によって変わる言語選択
- 教室という小さな社会―生徒たちの言語使用
- 包摂性への深い配慮―すべての生徒に参加の機会を
- 二つの世界の橋渡し―試験と実社会
- 多様性の中の共通点―8つの教室から見えた原則
- 文脈の重要性―VinayとDipikaの対照的な事例
- 日本への示唆―私たちは何を学べるか
- 研究の限界と今後の課題
- 政策への二つの提言―現場の知恵を活かす
- 結びに―多様性の中の専門性
皆さんは英語の授業といえばどんな風景を思い浮かべるでしょうか。多くの人は「英語は英語で教える」という原則を思い出すかもしれません。確かに、日本でも「オール・イングリッシュ」という言葉が教育現場でよく使われます。しかし、この論文”The translanguaging practices of expert Indian teachers of English and their learners”の著者であるJason Andersonは、インドの英語教室で全く異なる現実を目にしました。そして興味深いことに、その現実こそが効果的な英語教育につながっているという事実を発見したのです。
Andersonはイギリスのウォーリック大学で応用言語学を専門とする研究者です。彼がインドという巨大な教育システムに注目したのには理由があります。インドには400以上の言語が存在し、英語は植民地時代の遺産として公用語の一つとなっています。しかし大多数のインド人、特に学校で学ぶ子どもたちにとって、英語は日常生活ではほとんど使われない完全な外国語です。それでも彼らは英語を学び、試験に合格し、そして社会で英語を使いこなしていきます。この一見矛盾した状況の中で、優れた教師たちは一体どのように教えているのでしょうか。
