はじめに―教室に入り込むAI技術
近年、英語の授業でスマートフォンやタブレットを使う光景は珍しくなくなりました。しかし、単にデジタル機器を使うだけではなく、人工知能が学習者一人ひとりに合わせて指導する時代が到来しています。サウジアラビアのImam Mohammad Ibn Saud Islamic Universityに所属するLujain AlTwijriとTalal Musaed Alghizziの両氏は、このようなAI技術が英語学習者の心理面にどのような影響を与えるのかを明らかにするため、2017年から2023年にかけて発表された研究論文を網羅的に調査しました。
本論文”Investigating the integration of artificial intelligence in English as foreign language classes for enhancing learners’ affective factors: A systematic review”は2024年5月にHeliyon誌に掲載されたシステマティックレビューで、当初64本の論文から最終的に21本を選び出し、詳細な分析を行っています。著者らが注目したのは、英語力そのものではなく、学習者の「情動的要因(affective factors)」です。これは、動機づけ(motivation)、エンゲージメント(engagement)、態度(attitude)、不安(anxiety)といった、学習の成否を左右する心理的な側面を指します。
