はじめに―二つの言語の間で揺れる学習者たち

英語を学ぶ日本人学生なら誰しも経験があるでしょう。頭の中で日本語で考えたことを、必死に英語に「翻訳」しようとする瞬間を。「これって英語でなんて言うんだっけ」と辞書を引き、「この表現で合っているのかな」と不安になりながら文章を組み立てる。そんな試行錯誤の連続が、外国語学習の現実です。

Wang YibeiとLi Danliによる本研究”Translanguaging pedagogy in tutor’s oral corrective feedback on Chinese EFL learners’ argumentative writing”は、まさにそうした学習者の姿に光を当てています。中国の大学で英語を専攻する1年生12名を対象に、6週間にわたる議論文(argumentative writing)のチュートリアルを実施し、教師が与える口頭訂正フィードバック(Oral Corrective Feedback, OCF)の中で、中国語と英語を自由に行き来する「トランスランゲージング」がどのような効果を持つのかを詳細に観察しました。

筆者のWang Yibeiは武漢大学の修士課程に在籍する若手研究者、共著者のLi Danliは同大学の准教授で、社会文化的視点からの第二言語習得、言語政策、教師教育を専門としています。この研究は中国教育部の人文社会科学研究基金と武漢大学の基礎研究資金の支援を受けており、中国における英語教育の質的向上を目指す国家的な取り組みの一環として位置づけられます。