研究の背景―なぜインドの英語教室に注目するのか

皆さんは英語の授業といえばどんな風景を思い浮かべるでしょうか。多くの人は「英語は英語で教える」という原則を思い出すかもしれません。確かに、日本でも「オール・イングリッシュ」という言葉が教育現場でよく使われます。しかし、この論文”The translanguaging practices of expert Indian teachers of English and their learners”の著者であるJason Andersonは、インドの英語教室で全く異なる現実を目にしました。そして興味深いことに、その現実こそが効果的な英語教育につながっているという事実を発見したのです。

Andersonはイギリスのウォーリック大学で応用言語学を専門とする研究者です。彼がインドという巨大な教育システムに注目したのには理由があります。インドには400以上の言語が存在し、英語は植民地時代の遺産として公用語の一つとなっています。しかし大多数のインド人、特に学校で学ぶ子どもたちにとって、英語は日常生活ではほとんど使われない完全な外国語です。それでも彼らは英語を学び、試験に合格し、そして社会で英語を使いこなしていきます。この一見矛盾した状況の中で、優れた教師たちは一体どのように教えているのでしょうか。