研究の背景―グローバル化の波に揺れる中国の大学

中国の大学では、ここ数十年で英語を使った授業が急速に増えています。これは「英語媒介授業」、つまりEMI(English-Medium Instruction)と呼ばれるもので、英語そのものを学ぶのではなく、工学や経済学などの専門科目を英語で教えるという取り組みです。政府の政策支援もあり、多くの大学がこうした授業を導入していますが、実際の教室では様々な困難に直面しています。

City University of Hong Kongの研究者であるWenyun Jia、Xuehua Fu、Jack Punの3名は、こうした状況に注目し、中国西部のある大学の工学部で英語媒介授業を担当する3人の講師を詳しく調査しました。彼らが特に関心を持ったのは「トランスランゲージング」という考え方です。これは簡単に言えば、英語だけにこだわらず、学生の母語である中国語も含めて、利用できる言語資源をすべて活用して教育を行おうという実践方法です。

研究チームは、講師たちがトランスランゲージングについてどう考えているのか、そして実際の授業でどのように言語を使っているのかを調べました。さらに重要なのは、その「考え」と「実践」の間にどんなギャップがあり、それはなぜ生まれるのかという点です。