増え続ける英語での授業、しかしそこに潜む不平等

世界中の大学で、英語を使って専門科目を教える授業が増えています。特にアジアの大学では、優秀な留学生を呼び込み、国際化を進めるために、英語での授業プログラムを次々と立ち上げています。中国でも2016年の教育省の方針以降、49万人以上の留学生を受け入れ、その多くが英語で行われる授業プログラムに在籍しています。

しかし、こうした英語中心の教育には、見過ごされがちな問題があります。英語が母語でない教員や学生にとって、英語で自分の考えを表現することは簡単ではありません。授業中に発言する自信を失ったり、自分の意見をうまく伝えられないもどかしさを感じたりします。さらに深刻なのは、英語で表現できる知識だけが「正しい」「価値がある」とみなされ、他の言語や文化に根ざした知識や考え方が軽視されてしまうことです。

この論文”Epistemic (in)justice in English medium instruction: Transnational teachers’ and students’ negotiation of knowledge participation through translanguaging”の著者であるYongyan ZhengとYixi Qiuは、中国・上海にある復旦大学の外国語文学学院に所属する研究者です。両名は長年、多言語環境での教育実践について研究を重ねてきました。特にYongyan Zhengは、国際的な学術出版における中国人研究者の言語実践についても研究しており、英語中心の学術世界における多言語話者の課題に深い関心を持っています。今回の研究は、自身が勤務する大学の国際関係・公共政策学部における修士課程プログラムを対象としたもので、研究者としてだけでなく、当事者としての視点も持ち合わせています。