筆者と研究の背景

本論文”Translanguaging as a way to fostering EFL learners’ criticality in a hybrid course design”は、Muhammet Yaşar YüzlüとKenan Dikilitaşによる共同研究です。Yüzlüはトルコのゾングルダク・ブレント・エジェヴィト大学に所属し、Dikilitaşはノルウェーのスタヴァンゲル大学に在籍しています。

この研究が行われた背景には、トルコの英語教育が抱える深刻な問題がありました。トルコの多くの学校では「英語のみ」という方針が採用されており、生徒たちは英語のネイティブスピーカーの言い回しや表現を丸暗記することに追われています。授業では情報を受け取り、それをそのまま口頭や文章で再現することが求められ、なぜそうなのかを問うたり、どのように考えるべきかを議論したりする機会はほとんどありません。これは、教育学者Paulo Freireが批判した「銀行型教育」そのものです。生徒の頭を空っぽの銀行口座とみなし、教師が一方的に知識を預金していくようなやり方では、主体的に考える力は育ちません。

一方で、グローバル化が進む21世紀において、批判的に物事を考える力は、創造性や問題解決能力と並んで、子どもたちが身につけるべき重要なスキルとして認識されています。しかし、トルコの英語教育の現状では、生徒たちがこうした力を養うことは極めて困難でした。