「同時に二つ」は本当に得なのか

文章を目で追いながら、同じ内容の音声を聞く。この方法は、日本の教室でも広く行われています。教科書の音読を聞かせながら本文を読ませる。音声つきの多読教材を使う。オーディオブックを併用する。いずれも同じ発想に基づいています。

理屈としては説得力があります。文字と音声の二つの情報源があれば、互いに補い合う。音が聞き取れなくても文字で確認でき、文字が読めなくても音で補える。理解が深まるはずです。

ところが、この期待を支持する証拠は、意外にも一貫していませんでした。効果があったという報告もあれば、なかったという報告もある。条件によって結果が分かれます。

今回取り上げる研究は、この不安定さに決着をつけようとしました。Bronson Hui と Aline Godfroid の両氏が Language Learning に発表した “Listening, Reading, or Both? Rethinking the Comprehension Benefits of Reading-While-Listening” です。結果は、著者たち自身の予測を裏切るものでした。