目標を決めないまま走ってきた発音指導
英語の発音をどこまで直すべきか。この問いに、明確な答えを持っている教師は多くないでしょう。母語話者そっくりを目指すのは非現実的だ、という認識は広まりました。では何を目指すのか。たいてい返ってくる答えは、通じればよい、というものです。
もっともな答えに聞こえます。しかし、通じるとは何を指すのでしょうか。相手が語を聞き取れること。話の内容がわかること。意図が伝わること。これらは同じではありません。どれを目標にするかで、指導の中身は大きく変わります。
実は、この概念をめぐる混乱は、研究の世界でも解決していません。四十年にわたって議論が続き、いまだに統一的な定義がない。今回取り上げる論考は、その歴史をたどりながら現状を整理しています。
Okim Kang、Yuna Bae、Yongzhi Miao の三氏が Language Teaching に発表した “L2 speech intelligibility” は、研究の時系列を整理する形式の論考です。個別の実験報告ではなく、分野の見取り図を提供するものだと言えます。
