便利になった技術と、期待されすぎた効果
Table of Contents
−- 便利になった技術と、期待されすぎた効果
- 二つの調整要因を想定する
- 実験の設計
- 主要な結果
- Hui と Godfroid の研究との関係
- なぜ助けにならないのか
- 読む速度が効かなかったこと
- 文章の複雑さが効かなかったこと
- 日本の教室での実践を見直す
- 語彙学習という別の目的
- 聞くだけの条件が最も低かったこと
- 支援の設計という観点
- 技術の利便性と教育的な価値
- 限界について
- 追試と拡張の必要性
- 実践への提案
- まとめとして
- 音声を止められる環境なら結果は変わるか
- 理解を測る方法の影響
- 音読との違い
- 技術に飛びつく前に
- 支援を外す時期を考える
- 読む速度を育てるという課題
- 文章の複雑さをどう扱うか
- 聞くだけの活動をどう位置づけるか
- 「同時にやる」ことへの警戒
- 足場を組む前に土台を見る
音声つきの読書は、いまや誰でも手軽にできます。オーディオブックの配信、電子書籍の読み上げ機能、教科書のデジタル版に付属する音声。文字を目で追いながら、同じ内容を耳で聞く環境が整いました。
語学教育の現場でも、この方式は歓迎されてきました。教師が文章を音読しながら生徒に読ませる。音声を流しながら本文を追わせる。二つの情報源があれば理解も深まるだろう、という期待があります。
ところが、この期待を支持する証拠は一貫していませんでした。効果を報告する研究もあれば、効果が見られなかったという研究もある。なぜ結果が分かれるのかは、明らかではありませんでした。
今回取り上げる研究は、この不一致の原因を探ろうとしました。Bronson Hui 氏が The Modern Language Journal に発表した “Scaffolding comprehension with reading while listening and the role of reading speed and text complexity” です。
