「一番研究されていない技能」という定説
リスニングは四技能のうちで最も研究が遅れている。この言い方は、ずいぶん長く使われてきました。Vandergrift が2007年の総説で述べた一文は、その後の論文の冒頭でくり返し引用されています。読む、書く、話すに比べて、聞くことの研究は少ない。多くの研究者がそう書いてきました。
けれども、本当にそうなのでしょうか。そして、少ないとしてどれくらい少ないのか。どの時期に、どんな話題が扱われてきたのか。印象論ではなく、数えてみればわかるはずです。
今回取り上げる研究は、まさにそれをやりました。Lei Lei、Yaochen Deng、Dilin Liu の三氏が Studies in Second Language Learning and Teaching に発表した “Research on the learning/teaching of L2 listening: A bibliometric review and its implications” は、1948年から2020年までの73年分の論文を計量的に分析しています。
研究を読むのではなく、研究を数える。この方法は書誌計量学と呼ばれます。個々の論文の中身には立ち入らず、話題の分布や引用の関係を統計的に扱う。地図を描くような作業です。
