「どのくらい知っていれば見られるのか」という問い

生徒に英語の動画を見せるとき、いつも迷います。この素材は難しすぎないか。知らない語が多すぎて、何も残らないのではないか。かといって易しすぎれば、退屈させてしまう。

判断の材料がほしいところです。読解については、ある程度の目安が知られています。文章中の語の九十八パーセントを知っていれば十分に理解でき、九十五パーセントなら支援があれば理解できる。Hu と Nation の研究以来、この数字が広く参照されてきました。

では映像はどうか。音声に加えて画像があり、話し手の表情や身振りもある。文字だけの読解より、知らない語の影響は小さいはずです。しかし、どの程度小さいのかは誰も測っていませんでした。

今回取り上げる研究は、この空白を埋めました。Marion Durbahn、Michael Rodgers、Marijana Macis、Elke Peters の四氏が Studies in Second Language Acquisition に発表した “Lexical coverage in L1 and L2 viewing comprehension” は、映像視聴に必要な語彙カバー率を初めて実証的に示しています。