研究と現場のあいだにある溝
映像入力が言語学習に有効だという研究成果は、もはや山のように積み上がっています。語彙が増える、文法が身につく、聞き取りが改善する、発音にも効く。字幕の種類による違いまで詳細に検討されてきました。にもかかわらず、教室での映像利用は、研究が示すほど広がっていません。
この溝はどこから来るのでしょうか。教師が研究を知らないから、と説明されがちです。しかし、それだけとは思えません。知っていても使わない、あるいは使えない事情があるはずです。効果があるとわかっていても実行できない理由を、誰かが調べる必要がありました。
今回取り上げる研究は、その空白を埋めようとしたものです。Tetyana Sydorenko、Mónica S. Cárdenas-Claros、Elizabeth Huntley、Maribel Montero Perez の四氏が Language Learning & Technology に発表した “Audiovisual input in language learning: Teachers’ perspectives” は、世界各地の言語教師193名に調査を行い、映像入力の利用実態と、その背後にある要因を分析しました。
浮かび上がったのは、意外なほど人間的な答えでした。使うかどうかを決めていたのは、設備でも経験年数でもなく、教師自身の認識と慣れだったのです。
