複製という地味だが不可欠な作業

ある研究が興味深い結果を報告したとき、私たちはそれを事実として受け取りがちです。しかし、一本の研究で得られた結果が、別の集団でも再現されるとは限りません。標本が偏っていたのかもしれない、偶然の結果だったのかもしれない。

確かめる方法は一つしかありません。同じ手続きで、別の集団を対象に実験をやり直すことです。この作業を複製と呼びます。

複製研究は、新しい発見を伴いません。だからこそ、発表されにくく、評価もされにくい。しかし、科学の信頼性はこの地味な作業に支えられています。

今回取り上げる研究は、その複製にあたります。Joshua Matthews をはじめとする八名の研究者が TESOL Quarterly に発表した “Exploring Links Between Aural Lexical Knowledge and L2 Listening in Arabic and Japanese Speakers” は、先行研究を忠実に再現しつつ、対象となる母語話者集団を変えたものです。