新型コロナウイルスの流行をきっかけに、日本の学校現場でも「オンラインと対面のハイブリッド授業」という言葉が急速に広まりました。しかし、実際に何をどう組み合わせれば効果的なのか、多くの教員が手探りで模索してきたのではないでしょうか。マレーシアのSangeeth Ramalingam、Melor Md Yunus、Harwati Hashimの3氏による論文”Blended Learning Strategies for Sustainable English as a Second Language Education: A Systematic Review”(2022年、Sustainability誌)は、まさにこの手探り状態に一定の見取り図を与えてくれるシステマティックレビューです。著者らはマレーシアのUniversiti Kebangsaan Malaysiaの教育学部に所属し、Ramalingam氏はKolej Poly Tech Mara Bangiという専門学校でも教鞭を執っています。実務と研究の両方に足場を持つ著者らの視点は、理論だけに閉じない実践的な示唆に富んでいます。

なぜこのレビューが必要とされたのか

ブレンド型学習(blended learning)そのものは決して新しい概念ではありません。対面授業とオンライン授業を組み合わせる教育手法として、2000年代から高等教育の現場で議論されてきました。しかし著者らが指摘するのは、English as a Second Language(ESL、第二言語としての英語)という文脈に特化してブレンド型学習を体系的にレビューした先行研究が乏しいという点です。これまでのシステマティックレビューはむしろEFL(外国語としての英語)やESP(特定目的のための英語)に偏っており、ESLという枠組みでの整理が手薄になっていたというのです。

この背景には、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)、特に「質の高い教育をみんなに」を掲げるSDG4への意識があります。著者らは、ブレンド型学習が生涯学習の機会を広げ、教育の持続可能性を支える手段になり得るという立場から、このレビューを位置づけています。COVID-19パンデミックが教育現場に突きつけた課題、つまり対面授業が困難になった状況下でどう学びを継続するかという問いが、この研究の緊急性を高めた背景にあることも読み取れます。