Z世代とは何者か―デジタルネイティブの実像
2025年1月、スイスのフリブール大学教育学部に所属するSarah Chardonnensが、Frontiers in Education誌に発表した論文 “Adapting Educational Practices for Generation Z: Integrating Metacognitive Strategies and Artificial Intelligence” は、Z世代と呼ばれる若者たちの学習ニーズを体系的に分析し、メタ認知戦略と人工知能(AI)の教育的活用について包括的な知見を提供するものです。2000年から2024年にかけて発表された121本の査読済み論文をPRISMAフレームワークに基づいて系統的にレビューするという、手堅い方法論を採用しています。
Z世代とは、1997年から2012年の間に生まれた人々を指します。日本でも「ゆとり世代」以降の若者、とくに現在の大学生や高校生の多くがこの世代に該当します。彼らはスマートフォンやSNSが当たり前に存在する世界で育ち、情報へのアクセスが常に即時的でした。英語の授業でいえば、わからない単語があれば辞書を引くより先にスマートフォンで検索するのが彼らにとっての自然な行動です。この世代の認知スタイルや学習行動を理解することは、教室での指導に直結する問題です。
Chardonnensはこの論文の執筆において、Dimock(2019)やPrensky(2001)といった世代論の先行研究を土台にしながら、Deci and Ryan(1985)の自己決定理論、Zimmerman(2002)の自己調整学習論、Zawacki-Richterら(2019)のAIと高等教育に関する系統的レビューなど、教育心理学や学習科学の知見を幅広く統合しています。単なるAI礼賛でも批判でもなく、バランスのとれた視点でZ世代の教育課題に迫ろうとする姿勢が、この論文の最大の特徴といえるでしょう。
