論文が問いかけるもの
英語を学ぶとき、あなたは「やらされている」感覚を持ったことはないでしょうか。学校で課されたテキストを開き、先生に言われた箇所を暗記し、テストのために単語を詰め込む。それで本当に英語が身についたかといえば、多くの人が首を横に振るでしょう。日本の英語教育の現場でも、この「受け身の学習者」問題は長年の課題として議論されてきました。
今回取り上げる論文は、そうした問題意識に真正面から向き合ったものです。バングラデシュのIUBAT(International University of Business Agriculture and Technology)に所属するMd. Kawser AhmedとKazi Imran Hossainによる “Nurturing Learner Autonomy to Enhance Motivation and Academic Achievement for the L2 Learners in ESL Contexts”(2024年、IUBAT Review掲載)は、第二言語(L2)としての英語学習において、学習者オートノミー(自律的学習能力)を育てることが、動機づけと学業成果にどのような影響を与えるかを包括的にレビューした論文です。
著者のAhmedとHossainはどちらも英語・現代語学科の教員であり、バングラデシュという非英語圏のESL(第二言語としての英語)文脈での実践的関心を持ちながら、国際的な先行研究を丁寧に整理しています。論文自体は実験的な一次研究ではなく、文献レビューの形式をとっていますが、それゆえにこそ、広範な理論的土台と多様な実践事例が一望できる点で価値があります。
