研究の背景と問題意識

英語を外国語として学ぶ(EFL)環境において、「自律した学習者を育てる」という目標は、日本でもインドネシアでも長らく掲げられてきた理念です。しかし現実の教室を覗いてみると、教師が説明し、生徒がそれを受け取るという一方向的な授業が今なお主流である場合も少なくありません。子どもたちが自分の学びを自分でデザインし、振り返り、修正していく力、すなわち「学習者オートノミー(learner autonomy)」を育てるには、何が必要なのでしょうか。

本稿で取り上げる論文は、インドネシアのUniversitas Pendidikan IndonesiaのPipit Prihartanti Suharto、Ika Lestari Damayanti、Nenden Sri Lengkanawatiの三名が著した “Exploring Metacognitive Strategies to Support Young Learners in Developing Their Learner Autonomy” です。2025年にInternational Journal of Language Education(Vol. 9, No. 2)に掲載されたこの研究は、小学校4年生18名を対象に、「計画(Plan)・実践(Do)・振り返り(Review)」という三段階の反省的フレームワークを軸にしたメタ認知戦略指導を7週間・18セッションにわたって実施し、その効果と課題を丁寧に記述したものです。

筆頭著者のSuhartoはインドネシア政府の奨学金(BPI)を受けて博士課程で研究を行っており、指導教員でもあるLengkanawatiはインドネシアのEFL教育における学習者オートノミー研究の第一人者として知られています。この研究は、理論的関心と現場実践の両方に根ざした、非常に地に足のついた試みといえます。