「自律性」とは何か、を問い直す意味

「自律した学習者を育てる」という言葉は、日本の英語教育の場でもよく耳にします。文部科学省が掲げる「主体的・対話的で深い学び」という旗印のもと、教師はさまざまな工夫を凝らしてきました。しかし、その「自律性」とはいったい何を指しているのか、どうやって育てるのか、そして本当に育ったかどうかをどう確かめればいいのか、と問われると、明確に答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。

本論文は、まさにその問いに正面から向き合った研究です。著者のSin Wang ChongとHayo Reinderは、英語学習者(ELL)の自律性に関する実証研究61本を対象に「スコーピング・レビュー」という手法を用いて体系的に分析し、この分野の現状と課題を明らかにしました。Chongはクイーンズ大学ベルファスト、セント・アンドリューズ大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン教育学研究所と複数の機関に籍を置く研究方法論の専門家であり、Reinderはキング・モンクット工科大学トンブリ校およびアナハイム大学を拠点に、テクノロジーと言語学習を専門とする国際的に著名な研究者です。二人のコラボレーションはこれが初めてではなく、CALL(コンピューター支援言語学習)に関する質的研究合成など、複数の共同研究を重ねてきた経緯があります。