研究の背景と問いの出発点

英語を外国語として学ぶ環境(EFL環境)において、「いかに学習者が自分自身の学びを管理できるようになるか」という問いは、教師なら誰でも一度は頭を抱える課題です。日本の英語教師の方であれば、授業でライティング課題を出したものの、学習者が「とりあえず提出すればいい」という受け身の姿勢で取り組んでいると感じたことがあるのではないでしょうか。そうした受け身の姿勢を乗り越えるための手立てとして、近年注目されているのが「オルタナティブ・アセスメント」と呼ばれる代替的評価手法です。

本稿で取り上げるのは、Maryam Ebrahimi、Siros Izadpanah、Ehsan Namaziandostの三名によって2021年に発表された論文 “The Impact of Writing Self-Assessment and Peer Assessment on Iranian EFL Learners’ Autonomy and Metacognitive Awareness”です。イスラム・アザド大学ザンジャン校および同シャーレクルド校に所属する研究者たちによるこの論文は、Education Research International誌に掲載されました。イランという、日本と同様に英語が日常的には使われない典型的なEFL環境を対象にしていることから、日本の英語教育関係者にとっても多くの示唆を含んでいます。

研究の中心的な問いはシンプルながら実践的です。ライティングにおける「自己評価(self-assessment)」と「相互評価(peer assessment)」のどちらが、学習者の「自律性(autonomy)」と「メタ認知的気づき(metacognitive awareness)」をより効果的に高めるのか。この二つの評価手法を比較し、その効果を実証データで示そうとした点に、本研究の独自性があります。