論文が問いかけるもの

教育の現場で長年働いた経験がある人なら、こんな場面に心当たりがあるのではないでしょうか。授業で丁寧に説明したはずなのに、生徒が同じミスを繰り返す。「どうやって勉強しているの?」と聞いてみると、「ただ読んでいます」という答えが返ってくる。そこには、自分の学び方を振り返る習慣が育っていないという問題が潜んでいます。本論文はまさにその問題に正面から向き合った研究です。Wang Xiaotian、Nirat Jantharajit、Sarit Srikhaoの三名がタイのナコーンパノム大学を拠点に執筆したこの論文は、2024年にAsian Journal of Contemporary Educationの第8巻第1号に掲載されました。タイの研究機関に所属する研究者たちが中国の職業教育(vocational education)を念頭に置きながら論を進めているという点も、国際的な視点を持った読者には興味深い背景となっています。

研究の中心にある問いはシンプルです。職業系の高等教育機関(日本でいえば専門学校や高等専門学校に近い位置づけ)に通う学生たちが、どうすれば自律的な学習者として育つことができるのか。そのために、メタ認知戦略(metacognitive strategies)と社会的認知学習理論(social cognitive learning theory)を融合させるという独自のアプローチを提案しているのが本論文の核心です。