この論文が問いかけていること
英語を教えていると、「どうすればもっと自分で学べる生徒になるのか」という問いに何度もぶつかります。授業中はそれなりに活発に取り組んでいるのに、授業が終わればそれっきり。自宅でも、スマートフォンやパソコンを使って英語に触れようとする気配がない。こうした現象は、日本の英語教育の現場でも日常的に見られる光景ではないでしょうか。Didem Koban KoçとSerdar Engin Koçによる本論文は、まさにそのような問いに正面から向き合った研究です。
本論文 “Understanding Learner Autonomy through Cognitive, Metacognitive and Social Strategies Used by English Language Learners in a Computer-based Classroom” は、2016年にThe Journal of Language Teaching and Learning誌(第6巻第2号、58〜69頁)に掲載されました。筆頭著者のDidem Koban KoçはトルコのHacettepe大学に所属し、共著者のSerdar Engin KoçはBaşkent大学に所属しています。両者ともトルコの高等教育機関における英語教育に深く携わっており、本研究もトルコの国立大学の英語教育学科の1年生を対象に実施されました。
研究の核心は明快です。コンピュータを使ったオンライン活動において、学習者がどのようなメタ認知的・認知的・社会的ストラテジーを用いているかを明らかにし、それらのストラテジーの使用が学習者オートノミー(自律性)の育成にどうつながるかを探ることです。「オートノミー」という言葉はやや難解に聞こえるかもしれませんが、要は「自分の学習に責任を持って、能動的に取り組める力」のことだと思えばよいでしょう。
