成人学習者の可能性を引き出す研究

パリのEast Bridge Universityに籍を置くDr. Sanjib Chakrabortyが2024年に発表した論文 “Empowering and Engaging Adult Learners: Strategies to Facilitate Self-Directed Learning in Adult Education”は、成人教育の領域において自己主導型学習(Self-Directed Learning、以下SDL)をいかに促進するかという問いに正面から向き合った意欲的な研究です。成人学習者の自律性・内発的動機・協働学習・自己評価という四つの柱を軸に、混合研究法(mixed-methods approach)を採用して量的・質的データを組み合わせながら分析しています。本論文は、単なる理論紹介にとどまらず、実際のアンケート調査と半構造化インタビューを通じて現場の声を拾い上げようとしている点に独自性があります。

日本の英語教育に携わる方々にとって、「成人学習者」という言葉を聞いてまず思い浮かぶのは、社会人英語学習者や大学の学び直しプログラムの受講者ではないでしょうか。あるいは、英語教員自身が研修や学会を通じて継続的に学ぶ姿も、この文脈に重なります。本論文が取り上げる問いは、実はそうした場面すべてに通底するものです。