はじめに―AIが採点する時代の到来

「先生、これ、AIに直してもらいました」。そんな言葉を学生から聞いて、苦笑いした経験のある英語教師は、今や少なくないでしょう。生成AIの普及によって、ライティング指導の現場は静かに、しかし確実に変わりつつあります。教師がコメントを書く前に、学生がすでにAIからフィードバックを受け取っている、そんな逆転現象も珍しくなくなりました。

本稿で取り上げるのは、Anya S. Evmenova、Kelley Regan、Reagan Mergen、Roba Hrisseh(いずれもGeorge Mason University)の4名によって2024年にTechTrends誌に掲載された論文、”Improving Writing Feedback for Struggling Writers: Generative AI to the Rescue?”です。タイトルの末尾に付けられたクエスチョンマークが示すとおり、著者たちはAIをただ礼賛するのではなく、その実力を冷静に問い直そうとしています。この姿勢こそが、本論文の最大の誠実さといえるかもしれません。

特集テーマである「生成AIと共創するアカデミック・ライティング―英語教育における実践、評価、そして倫理」の観点から読むと、この論文は対象こそ小学校から中学校レベルの英語圏の児童・生徒ですが、その知見は日本の英語教育現場、特に大学入試や英語4技能評価が大きく揺れ動く現在においても、深く考えさせられる内容を含んでいます。