はじめに―この論文が問いかけていること
英語を外国語として学ぶ学習者にとって、ライティングは長年にわたって「最後の難関」であり続けてきました。文法を知っていても、語彙を覚えていても、いざ自分の考えを英文で組み立てようとすると、手が止まってしまう。そんな経験は、英語教育に携わる方であれば一度ならず目にしてきたはずです。そこにChatGPTをはじめとする生成AIが登場し、「これは何かを変えるかもしれない」という期待と、「これは何かをダメにするかもしれない」という不安が同時に広がりました。
今回取り上げる論文は、Alaa Aladini、Sayed M. Ismail、Mohamad Ahmad Saleem Khasawneh、Goodarz Shakibaeiによる “Self-directed writing development across computer/AI-based tasks: Unraveling the traces on L2 writing outcomes, growth mindfulness, and grammatical knowledge” (Computers in Human Behavior Reports, 2025)です。2024年12月にオンライン公開されたばかりの新しい研究で、イランのAhvazにある三つの私立英語学校を舞台に、561名という大規模なサンプルを用いてAIベースのライティング指導の効果を検証しています。
著者たちはそれぞれ、オマーン、サウジアラビア、イランの大学に籍を置く英語教育・特別教育の研究者です。中東・中央アジアのEFL(英語を外国語として学ぶ)環境における技術統合型教育の研究を積み重ねてきており、本論文はその流れの中に位置づけられます。
