はじめに―「これってカンニングですか?」という問いの重さ
授業中に学生から「ChatGPTで書いたレポートを出すのって、やっぱりまずいですか?」と聞かれたことがある英語教師は、もはや少なくないでしょう。この問いの厄介さは、答えが「場合による」としか言いようがない点にあります。使い方によって補助ツールにもなれば、不正行為にもなる。そのグレーゾーンをどう線引きするか、教師も学生も手探りのまま2025年を迎えたというのが正直なところではないでしょうか。
本稿で取り上げるのは、2025年5月にEducation Sciences誌に掲載された、Nelson、Santamaría、Javens、Ricaurteによる論文”Students’ Perceptions of Generative Artificial Intelligence (GenAI) Use in Academic Writing in English as a Foreign Language”です。エクアドルの地方STEM大学で英語を外国語として学ぶ(EFL)学部生56名を対象に、ChatGPTをはじめとする生成AI(GenAI)のアカデミック・ライティングへの使用について、学生自身がどのように認識しているかを調査した研究です。著者のうちNelson、Santamaría、Javensの3名はYachay Tech大学言語センターの所属で、日常的にEFL教育に携わる実践者でもあります。Ricaurteは同大学の化学・工学系の研究者であり、学際的なチームによる研究という点も特徴のひとつです。なお本論文は、2024年11月にフィレンツェで開催された第17回「Innovation in Language Learning」国際会議での発表を大幅に発展させたものです。
この研究が面白いのは、「学生はAIをどう使っているか」という行動の記録ではなく、「学生はAIの使用をどう意味づけているか」という認識の調査である点です。行動と認識のギャップこそが、教育実践にとって最も重要な情報であることが多いからです。
