論文の位置づけと著者たちについて

本稿で取り上げるのは、Jacob Steissらがカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究チームを中心に執筆し、2024年にLearning and Instruction誌に掲載された”Comparing the quality of human and ChatGPT feedback of students’ writing”です。筆頭著者のSteissはUCIのWRITE Centerに所属するプロジェクト研究者で、中等教育での読み書き指導と評価を専門としています。共著者には、40年以上にわたってライティング指導の研究を牽引してきたアリゾナ州立大学のSteve Graham、テクノロジーとリテラシーの関係を長年研究してきたMark Warschauer、そしてライティング教育の実践的研究で知られるCarol Booth Olsonら錚々たる顔ぶれが名を連ねています。この研究グループは米国の教育科学研究所(IES)と国立科学財団(NSF)の資金援助を受けており、単なる思弁的な論考ではなく、しっかりとした実証データに裏打ちされた研究です。

ChatGPTが2022年末に公開されてから、教育界では「これで作文添削の仕事はAIに奪われるのではないか」という議論が一気に広がりました。日本の英語教室でも同様で、「とりあえずChatGPTに英文を直させてみた」という学生や教師の話をあちこちで耳にするようになったのはここ数年のことです。しかし実際のところ、AIのフィードバックは「使えるレベル」なのか、それとも「見た目はもっともらしいが中身は薄い」のか、感覚的な印象論ではなく実証的に検証した研究はまだ少なかったのです。本論文はまさにその問いに正面から取り組んだものであり、ChatGPTが公開されてまもない時期に着手されたという意味でも、先駆的な位置づけを持っています。