はじめに―教室の「外側」で何が起きているのか
英語の授業でレポートを課したとき、学生がどのようにそれを書いているか、教員はどこまで把握しているでしょうか。授業中の発言、提出された成果物、そしてせいぜい面談での一言二言。しかし実際の執筆プロセスは教室の外、深夜の寮の部屋や図書館の片隅で進んでいます。ましてや生成AIが普及してからは、学生とChatGPTのあいだにどのような対話が繰り広げられているか、教員には見えにくい状況が続いています。
Chaoran Wangの論文 “Exploring Students’ Generative AI-Assisted Writing Processes: Perceptions and Experiences from Native and Nonnative English Speakers”(Technology, Knowledge and Learning, 2025年)は、まさにその「見えにくい場所」に踏み込んだ研究です。米国の大学の一年次ライティング授業において、学生6名がChatGPTをどのように使いながらアカデミック・ライティングに取り組んだかを、インタビュー・自己省察レポート・ChatGPTとのやり取りのスクリーンショットという複数のデータから丁寧に描き出しています。著者のWangはColby College(メイン州)に所属し、第二言語ライティングと言語教育におけるテクノロジー活用を専門とする研究者です。日本でもよく知られるようになった「生成AI×ライティング」という研究テーマにおいて、彼女は学生の内側からその経験を照らし出そうとしています。
