研究者たちの挑戦:教育理論に根ざしたAI学習システムの開発

「AIを教育に使えば効果的になる」という期待が高まる中、実際にはその多くが技術的な新しさばかりに注目し、肝心の教育理論が置き去りにされているという問題があります。まるで、高性能のエンジンを積んだ車を作ったものの、どこに向かって走るべきかという目的地を忘れてしまったような状況です。

本論文”Development research on an AI English learning support system to facilitate learner-generated-context-based learning”の著者らは、この問題に正面から取り組みました。UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)の博士課程学生であるDonghwa Leeを主筆者として、韓国のスタートアップZEROxFLOWのメンバーらと共同で、教育理論にしっかりと基盤を置いたAI英語学習システムの開発に挑戦したのです。

彼らが着目したのは、COVID-19パンデミックによって露呈した学習者の自律学習能力の不足でした。突然対面授業ができなくなった時、多くの学生が一人で勉強することの困難さに直面しました。特に韓国では、従来の教育システムが試験対策中心で、学習者の自主性や創造性を育む機会が限られていたため、この問題はより深刻でした。

著者らが選んだ理論的枠組みは「LGC(Learner-Generated Context)フレームワーク」というものです。これは学習者自身が学習の文脈を作り出し、主体的に学習を進めていくという考え方で、従来の「先生が決めた内容を生徒が受け取る」という一方向的な教育とは対極にあります。