はじめに―採点する側もAIになる時代

かつて、英語論文の指導といえば、赤ペンを手に学生の原稿とにらめっこするのが教員の仕事でした。文法の誤りに線を引き、論理の飛躍に「?」を書き込み、語彙の選択に「better word?」とコメントを添える。筆者もかつてそういった添削の山を前に、「もし自動的に採点できるツールがあれば」と夢想したことが一度や二度ではありません。その夢が現実のものになりつつある、と感じさせる論文が2024年にBMC Medical Educationに掲載されました。Li, Zong, Wuら(Sichuan University)による “Exploring the Potential of Artificial Intelligence to Enhance the Writing of English Academic Papers by Non-Native English-Speaking Medical Students―The Educational Application of ChatGPT” です。

本稿はこの論文を詳細に批評しながら、日本の英語教育関係者にとっての示唆を探ります。特集のテーマである「生成AIと共創するアカデミック・ライティング―実践、評価、そして倫理」の三軸に沿って読み解いていくことで、単なる一研究の紹介を超えた議論ができると考えます。