はじめに―「使っているのに伸びない」という問い
生成AIを英語の授業に取り入れ始めた教員から、しばしばこんな声を聞きます。「ツールを使わせてはいるけれど、学生によって効果がまったく違う。うまく活用している学生とそうでない学生の差が、むしろ広がっているような気がする」と。この感覚は、単なる印象ではありません。今回取り上げる論文は、まさにその「差」の正体を実証的に解き明かした意欲的な研究です。
Kim, J., Lee, S. S., Detrick, R., Wang, J., & Li, N.(2025)による “Students-Generative AI Interaction Patterns and Its Impact on Academic Writing”(Journal of Computing in Higher Education, 38, 504–525)は、生成AI支援のアカデミック・ライティング場面において、学習者のAIリテラシーの水準が、AIとのインタラクションのパターンをどのように規定し、さらにはライティング成績にどう影響するかを、36名の中国人大学院生を対象に詳細に追った研究です。
筆頭著者のJinhee Kimはオールド・ドミニオン大学(アメリカ)のSTEM・職業研究学部の助教授であり、AI in EducationおよびHuman-AI Interactionを専門とします。共著者のNa Liは中国・西安交通リバプール大学の准教授で、同大学のAIと教育のリサーチセンターを共同主宰しています。この研究は、アメリカと中国にまたがる研究チームが、英語を第二言語とする中国人大学院生の英語ライティング場面を舞台に行った、いわば国際的な共同研究です。
