はじめに―「先生、これ、使っていいんですか?」
授業中、学生からそんな質問を受けたことがある英語教師は、今や少なくないはずです。2022年末のChatGPT公開以降、生成AIはあっという間に教室の外から教室の中へと入り込み、教師も学生も、誰も予習していなかったルールのゲームに放り込まれたような状況が続いています。「使ってはいけない」と言っても使う学生はいる。「自由に使っていい」と言えば、どこまでが自分の力でどこからがAIの力なのかわからなくなる。そういうジレンマを抱えたまま、日々の授業が続いているというのが、多くの現場の実感ではないでしょうか。
そうした状況の中で、「では実際のところ、学生はAIをどう使っていて、どう感じているのか」を正面から問いかけた研究が本稿で紹介するものです。Kim, Yu, Detrick, & Li(2024)による”Exploring students’ perspectives on Generative AI-assisted academic writing”(『Education and Information Technologies』第30巻掲載)は、ChatGPT4を組み込んだ独自のライティング支援システムを使って学術的英語ライティングに取り組んだ中国人大学生20名に対して、60分から90分にわたる詳細なインタビューを実施した質的研究です。「学生の声を聞く」というシンプルに聞こえるアプローチが、じつはこの分野ではまだ希少であるという事実が、この研究の価値をよく示しています。
