はじめに―なぜ今、学習者の「声」が重要なのか

生成AIが教育現場に急速に浸透しつつある現在、英語教育の研究者や教員の多くが「AIをどう教えるか」「どう評価するか」「どこまで使わせてよいか」という問いに直面しています。しかし、ともすれば議論の中心になりがちなのは教員側の視点や政策的な対応であり、肝心の学習者自身がAIをどう経験し、どう意味づけているかという問いは、意外なほど後回しにされてきました。

今回紹介するのは、Tien Rafida、Suwandi Suwandi、Rusydi Anandaの三名が執筆し、2024年9月にJurnal Ilmiah Peuradeun(第12巻第3号)に掲載された論文 “EFL Students’ Perception in Indonesia and Taiwan on Using Artificial Intelligence to Enhance Writing Skills” です。インドネシアと台湾という、文化的・教育的背景を異にするふたつのアジア圏の大学でEFL(英語を外国語として学ぶ)学習者を対象に、アカデミック・ライティングにおけるAI活用への認識を質的手法で探った研究です。特集テーマである「生成AIと共創するアカデミック・ライティング」を考えるうえで、この論文が問いかけることは非常に示唆に富んでいます。