はじめに―AIと向き合う教室の現実
2022年11月にChatGPTが公開されて以来、英語教育の世界では「これは脅威か、それとも好機か」という問いが繰り返されてきました。答えを出すより先に、現場の教員たちは日々の授業でその問いと格闘し続けています。レポート課題を出すたびに「これはAIが書いたのではないか」と疑い、採点に余分な時間をかけ、シラバスにAI使用禁止条項を追加する。そういった光景は、日本の大学の英語教育現場でも珍しくなくなりました。
しかし、禁止することと、適切に使えるよう指導することとは、まったく異なる教育的判断です。本稿で取り上げるのは、その「指導する」側に踏み込んだ実証研究です。Wang, Aguilar, Bankard, Bui, Nye(2024)による “Writing with AI: What College Students Learned from Utilizing ChatGPT for a Writing Assignment”(Education Sciences, 14, 976)は、生成AIを課題に積極的に組み込み、学生がそこから何を学んだかを丁寧に記録した一作です。特集テーマである「生成AIと共創するアカデミック・ライティング―英語教育における実践、評価、そして倫理」の核心に触れる研究として、この論文が投げかける問いと知見を、じっくりと読み解いてみたいと思います。
