はじめに:デジタル化の波が南米の大学キャンパスを変える

私たちが普段使っているスマートフォンのレコメンド機能や、SNSのタイムライン表示。これらの背後で働いている人工知能(AI)技術が、今度は教育の現場でも活用され始めています。特に注目すべきは、ラテンアメリカという地域での取り組みです。経済的な制約や社会的な課題を抱えながらも、ブラジル、メキシコ、コロンビアといった国々の大学では、学生の中退防止から教師の業務効率化まで、様々な教育課題をAIで解決しようとする試みが広がっています。

本稿で取り上げるのは、中国中部師範大学のSdenka Zobeida Salas-Pilco氏とYuqin Yang氏による系統的レビュー論文”Artificial intelligence applications in Latin American higher education: a systematic review”です。両研究者は教育におけるAI応用の専門家で、特にSalas-Pilco氏はペルー出身でラテンアメリカの教育事情に精通しており、Yang氏は中国の教育情報化研究センターに所属しています。この研究は、2016年から2021年までの5年間にわたってラテンアメリカ19カ国の高等教育機関で実施されたAI関連研究を包括的に分析したものです。