はじめに:なぜ今、教師とAIの関係が注目されるのか

私たちの日常生活にスマートフォンのアプリやWeb検索エンジンが溶け込んでいるように、人工知能(AI)は教育の世界でも急速に存在感を増しています。しかし、「AIが教師を置き換える」といった極端な議論ではなく、実際に教育現場でAIがどのように活用され、教師がどのような役割を果たしているのかを冷静に見つめる必要があります。

フィンランドのオウル大学の研究チームが2022年に発表した本論文”The promises and challenges of artificial intelligence for teachers: A systematic review of research”は、まさにこうした問題意識から生まれた包括的な研究です。筆頭著者のイスマイル・チェリク氏をはじめとする4名の研究者たちは、教育分野でのAI活用に関する研究を体系的に分析し、教師の視点から見たAIの可能性と限界を明らかにしようと試みました。