はじめに:テクノロジーが支える「見えない先生」の誕生

私たちが学生時代を振り返ると、きっと誰もが「もう少し早く復習していれば」「あのとき違う順番で勉強していれば」といった後悔の一つや二つは持っているでしょう。外国語の単語を覚えるとき、数学の公式を身に付けるとき、歴史の年号を暗記するとき——私たちは直感的に「忘れそうになったら復習する」という方法を取りがちですが、果たしてそれが最も効率的な学習方法なのでしょうか。

この素朴な疑問に、人工知能と認知心理学の知見を組み合わせて答えようとする研究分野が注目を集めています。本稿では、コロラド大学のマイケル・モーザー教授らが2019年に発表した論文“Artificial intelligence to support human instruction”を通じて、AIが私たちの学習をどのように支援できるのか、そしてその背景にある科学的根拠について詳しく見ていきます。